2015(平成27)年1月5日初稿/2016(平成28)年12月6日最終修正

事業場外の第三者(or「従業員以外の者」)が認識できない事業場内の情報等を、(会社の許可無く)SNSやWEBへの投稿等の方法により公にしないこと。

 

 冷蔵庫や食器洗浄機、アイス冷蔵ケースの中に本人が入った自撮りの写真や、ピザの生地を自身の顔に貼り付けた写真等をSNSに投稿して炎上 ⇒ 最悪の場合で店舗閉鎖に至るような事件群(通称「バイトテロ」)が、メディアを賑わせたのは記憶に新しいところです。

 この規定例では、厨房などのバックヤード、営業時間外の事業場内などの、主に視覚情報を想定しています。

 

 特に飲食系や保健衛生系などで対策が必要なようには思われますが、(入社時に)特にこの項目を念入りに説明し、①実被害はきっちり損害賠償することが記載された就業規則を交付する、②雇用契約書や念書を取り交わすなどの形で警告することにより予防するなどの方法を重ねて採ることも良いと思います。

 ただし、労働基準法16条では(労働契約の不履行について)損害賠償額を予定することを禁止していますので、それに抵触するような形は認められません。ですが「実際に労働者の債務不履行により被った損害の賠償を請求することは禁止されていない(S22・9・13基発17号)」という行政通達があります。

 仮に事前の取り決めが無くても、実際に発生した損害について民事的に賠償請求することは可能と思いますが、故にこの方法は警告・予防がその主たる目的と言えます。
(実際に法的紛争等になった場合は、(警告・予防を行っていたことにより)労働者側の過失が認められる可能性が高まるようにも思われますが、司法の領域については、明確には申し上げられません。)

 

 さらに、もう一つ前の段階で制御する方法、例えば「勤務時間中は、(会社が特別に認める場合を除き、)スマートフォン、携帯電話その他の情報関連機器を使用しないこと。」などと、別の角度から重ねて定めることも可能です。
※ 但し、事業場内であっても勤務時間“外”の使用禁止までは、(当人の勤務時間外であっても、事業場はまだ営業中である等の)合理的な理由が無い限り規定化は難しいと考えます。

 従業員さんは、注意力の全てを職務の遂行に当てるべきという職務専念義務を当然に負っている点は、判例も認めるところだからです。

 しかし『顧客から携帯に直接連絡が入る』『(勤務場所が一定せず移動を伴うような業務の場合に)小さいお子さんや介護中の家族にかかる緊急連絡などを、いつでも直接受けれるようにしておきたい』などといった諸事情を(会社として)認める場合もあり得ます。

 故に“使用禁止規定”は、会社の実情に合わせて決められる事柄と思います。

 

 最後に、投稿が事業場内の法令違反等の通報に当たる場合は、(当該通報者は)公益通報者保護法に定める範囲で別途保護されることから、法令>就業規則の力関係からも、就業規則上は想定不要と考えます。